バトンを使った座談会
アスロック「ああ、また年が明けちまったなぁ、と――」
ニーナ「それ、『スペリオル〜希望の目覚め〜』第一話の冒頭そのままだよね!?」
アスロック「うん? ああ、まあな。というか、ツッコミを入れるのはお前なのか……」
ニーナ「え、なに!? ボクじゃ不満なの!?」
アスロック「い〜や〜。ただ、てっきりファルカスが突っ込んでくるものだとばかり思っていたから、なんとなく拍子抜けしちまって、な」
ニーナ「ファルカスくん? ああ、ファルカスくんなら、ほらあそこ。なんか体育座りでいじけてるよ」
アスロック「あ、本当だ。でも、なんでまた?」
ファルカス「……まさか『本編』に登場できずに去年を終えることになるだなんて……ぶつぶつ……去年の今頃のオレは予想も……ぶつぶつ……」
ニーナ「あー、うん。どうもそういうことらしいよ?」
アスロック「……ファルカス。不憫な……」
スピカ「…………」
アスロック「ん? ファルカス同様、なんか沈んだオーラ出してるあいつは誰だ?」
ニーナ「ああ、『マテそば』に登場しているスピカ・フィッツマイヤーさんだね。沈んでる理由は……まあ、大体想像つくかな」
スピカ「……ぶつぶつ……初登場がプロローグからだというのに、どうしてわたくし、いまだに目立った活躍がないんですの……ぶつぶつ……」
ニーナ「……やっぱり」
サーラ「お待たせ〜。あ、もう皆集まってるね。……あれ? なんかファルとあの金髪の女の子から『負け犬オーラ』が漂ってるけど……」
ミーティア「気にすることないわよ、サーラ。――あ、ニーナ。今日、ドローアは用事あって来れないって」
ニーナ「用事? 一体なんの?」
ミーティア「それが訊けずじまい。ドローア、あんまり突っ込んで訊いてくれるな、という空気を振りまいてたからね。あ、でもその代わりにお姉ちゃんは連れてきたから」
セレナ「本当は出たくなかったのだけれどね、このブログ内で開かれる座談会には。多分、ドローアが来なかったのもそんな感じの理由でしょうね」
九恵「それ以外に作者の都合もあるんじゃないかしら。まだ『本編』に出ていないキャラを出すわけにはいかないと思った、とか」
ニーナ「おおっ! 来たね、『マテそば』第一章から登場の九樹宮 九恵(くきみや ここのえ)さん! 一応招待はしたけど、絶対来ないと思ってたよ。――で、それはそれとしてさ、いまさらドローアさんの出演を控えたところで、意味ないんじゃない? ほら、過去に座談会に出たことあるし」
ミーティア「あたしもこれで三回目の出演だったりするしね、座談会。しかも発出演はやっぱり、『本編』初登場前のことだったし」
九恵「いまさら、ということね」
ニーナ「そういうことだね。――さて、じゃあ来れそうな人は全員集まったし、いい塩梅にテンションも上がってきたし、そろそろ始めようか!」
ファルカス「オレは全然テンション上がってないぞ……」
スピカ「わたくしもですわ。というか、この前フリでどうテンションを上げろと……」
ニーナ「もうっ! 二人ともうしろ向きだなぁ! この座談会はいわば、去年一切出番のなかったキミたちへの救済措置なんだよ! いわばここではキミたちが主人公!」
ファルカス「お、そう言われると悪い気しないな! なんかテンション上がってきたかも!」
スピカ「…………。単純な男ですわね。ここはしょせん『本編』とは関係のないファンサービスの場なのでしょう? だったら、いくらここで活躍したところで――」
ニーナ「あ、言い忘れてたけど、次に書く予定の『マテそば』第一章の第七話では、ちゃんとスピカさんの出番、あるからね?」
スピカ「では、始めましょうか」
ファルカス「早っ! 単純なのはどっちだよ!」
ニーナ「さて、では今度こそ! ――あ、皆ちょっと耳かして。……ゴニョゴニョ」
サーラ「わ、くすぐったい」
ファルカス「え、そんなことやるのか?」
九恵「…………。協調性のない私にそれを求めるの?」
ミーティア「まあ、盛り上がりそうではあるし、やってあげようじゃない!」
ニーナ「さすがミーティアさん、話がわかるね〜。よし、じゃあいくよ! いっせーのっ!」
ファルカス「あけましておめでとう(棒読み)」
サーラ「あけましておめでとうございます!」
ニーナ「(クラッカーをパンと鳴らして)ア ハッピーニューイヤー!!」
ミーティア「あけましておめでとう!」
アスロック「あけましておめでと〜!」
セレナ「あけましておめでとうございます(ぺこり)」
スピカ「a happy New Yearですわっ!」
九恵「……あけおめ(赤面)」
ニーナ「うっわ! 皆バッラバラ! というか九恵さん、なにその『あけおめ』って! ためらった末にそこまで赤面するなら、普通に『あけましておめでとうございます』って言えばよかったのに〜!」
九恵「う、うるさいわね……。そういうあなたこそ、なんでクラッカーなんか持ち出してるの? クリスマスはすでに過ぎてるわよ」
ニーナ「あ、これはクリスマスのときの残りだよ。それと、それを言ったら、もうすでにお正月も過ぎてるんだけどね」
サーラ「ファル〜。棒読みはないよ〜。棒読みは〜」
ファルカス「そうは言われてもな……。正直、オレには年が明けたからといってそれを祝う感覚がいまいちわからん。だって、そうだろ? ただ年が明けただけで、昨日と今日で違うことなんてなにひとつないじゃないか」
サーラ「もう……。それでも祝うものなんだよ」
ファルカス「裏世界ではいちいちなにかを祝ったりなんかしなかったからなぁ……」
サーラ「仕方ないなぁ。じゃあこれからわたしが色々教えていってあげるよ。ちょうど二人旅してるんだしね」
ニーナ「はいそこ〜。イチャイチャするの禁止〜」
ファルカス「え、いや、別にイチャイチャなんて……!」
サーラ「そ、そうだよ……!」
九恵「そこまで露骨に焦った反応しながら否定するなんて……。説得力ないことこの上ないわね」
ファルカス「うるさいな! この『あけおめ』女!」
九恵「……ッ!」
セレナ「もしかして、ファルカスさんと九恵さん、かなり相性というものが悪いんじゃ……?」
ニーナ「いや、あれは『相手が好きな娘であればあるほどイジめたがる男の子』と同じ反応とみた!」
ファルカス「勝手な解釈するなよ! ちょっとした売り言葉に買い言葉だ!」
サーラ「ファルって、知らず知らずのうちに人にケンカ売ってたりするもんね……」
ミーティア「サーラも苦労が絶えないわね」
サーラ「うん。まあ、それでもいいんだけどね。――ところで、さっきから気にはなっていたんだけど、今日、マルツは来てないの?」
ニーナ「ああ、招待はしたんだけどね。座談会やるよって言ったら即行で拒否されちゃった」
ファルカス「そりゃ、拒否もするよな……」
アスロック「そういやおれも、座談会では散々な目に遭った覚えしかないな」
ニーナ「むりやり連れてこようかとも思ったんだけどね、なんか涙目になってたから、まあ、今回は見逃してあげようかな〜、と。……でも、なんで来たくなかったんだろうね?」
ファルカス「とりあえず、見逃してあげよう、とか言っているヤツが抱いていい疑問じゃないな」
スピカ「ちょっと! ずっとず〜っと待っているというのに、このわたくしの素晴らしい『a happy New Year』の発音にはまだ言及しようとしないのですか!?」
ニーナ「え? それボクも言ったじゃん。同じような発音だったでしょ?」
スピカ「違いますわ! 全っ然違いますわ!」
ファルカス「……細かいことにこだわるヤツだな〜」
ミーティア「それにしても、お姉ちゃんは相変わらずなんでもそつなくこなすわよね。ドローアと同じで」
スピカ「細かくありませんわよっ! そもそもキリスト教徒であるわたくしがお正月を祝うということ自体おかしいというのに、その上このようなぶ、侮辱を……!」
セレナ「あら、そう? でもミーティアもこれくらいはできるようにならないとね」
サーラ「別にお正月を祝おうとは思わない、という点では似てるのに、どうしてケンカしてるんだろうね〜、ファルとスピカちゃん」
ミーティア「う、お姉ちゃん、痛いところを……」
ニーナ「うわ……。なんか大人数集まっているせいか、若干カオスな展開になってきてるね……。よし、じゃあここらで仕切り直そうか。去年――はやってないから、一昨年と同じく、僕の隠し芸<最後の審判(ワイズ・カタストロフ)>(完全版)を――」
ファルカス「わあぁぁぁっ! ニーナ、やめろっ! み、皆逃げろおぉぉぉっ!!」
サーラ「ニーナちゃん! そんな毎回毎回使ってたら、いい加減、隠し芸じゃなくなっちゃうよ!」
ニーナ「む……。確かにそれはそうだね。よし、じゃあ代わりになんかやろう。なんか」
アスロック「なんかって?」
ニーナ「たとえばこれ! はい、ドン!」
ミーティア「これは……?」
スピカ「箱、のように見えますけれど……」
ニーナ「うん。そう、箱! この一番上に空いている丸い穴にボクを除く全員が一斉に手を入れて、この中に二つだけ入っている『先っちょが赤く塗られているアイスの棒』を引いた二人が――」
九恵「なにか命令したり、されたりするということ? まるで王様ゲームね」
ニーナ「違う、違う。これを使うんだよ。作者から奪ってきたバトンを、ね!」
全員「バトン?」
ニーナ「そう、バトン! 作者がないと。さんからもらったバトンをやろうと思うんだ! え〜と、ルールは送り主から指定された送り主のオリキャラで○○がもしも〜なら?という質問をしますのでそれについて答えてください。答えるのは自分でも自分のオリキャラのどちらでもオーケーです♪というもの。先に赤い棒を引いた人が答える側、あとに引いた人が○○に入ることになる、というルールでいってみよう!」
ファルカス「お前は今回、傍観するんだな。珍しい」
ニーナ「あんまりでしゃばるのもよくないからね。ボクは今回は司会進行役。というわけで始めるよ。さ〜、皆引いた引いた〜」
ミーティア「どんな質問が来るとしても、赤い棒は引きたくないわね。傍観してるほうが面白そうだし」
スピカ「さあ、それじゃあ引きますわよ」
全員「よっ!」
九恵「……私の棒、赤いのついてるわね……」
ファルカス「げっ! オレもだ!」
ニーナ「はい、じゃあ最初の質問! 九恵さん、もしもファルカスくんが抱きついてきたら?」
九恵「とりあえず、セクハラだと訴えるわね」
スピカ「当たり前すぎて詰まらないですわね。わたくしだったら国際問題にまで発展させて、我がフィッツマイヤー家の権力をもって社会的に抹殺させていただきますわ」
ファルカス「そ、そこまでかよ……」
ミーティア「まあ、異世界の人間をどこまで社会的に抹殺できるかは謎だけどね」
ニーナ「じゃあ次っ!」
全員「――ほっ!」
セレナ「あ、赤い棒……」
サーラ「引いちゃった……」
ニーナ「あ〜。これはなんか詰まらない展開になりそう……。まあ、いいや。えっとね、もしもサーラさんが自分の兄弟――この場合は姉妹だね――になったら?」
ミーティア「お姉ちゃんをとられてたまるかっ!」
ニーナ「や、ミーティアさんには訊いてないから」
セレナ「意外とミーティアはおねえちゃんっ子だものね。――でも、そうね。サーラさんもおしとやかだから、三姉妹として普通に王宮で暮らせるでしょうね」
ニーナ「誰一人として血の繋がっていない三姉妹、ここに誕生、だね」
サーラ「う〜ん、わたしはそれ、勘弁してもらいたいかな。王宮での暮らしって、退屈そうだから」
セレナ「あらあら。ミーティアみたいなことを言うのね」
ファルカス「ま、サーラには放浪癖があるからな。王女様は務まらないだろ」
ミーティア「うんうん。お姉ちゃんの妹になろうだなんて百年早いってことね」
アスロック「ミーティア、おれはお前にだって王女は務まらないと思うんだが……」
ミーティア「う、うるさいわね……」
ニーナ「よし、じゃあ次っ!」
全員「せいっ!」
アスロック「あ、赤い棒」
ファルカス「げっ! オレ二回目だ!」
ニーナ「ふふふ……。これは面白くなりそうだね」
ファルカス「な、なんだよ? 不気味に笑いやがって……」
ニーナ「では、質問で〜すっ! アスロックくん、もしもファルカスくんが恋人だったら?」
ファルカス「引き直しをっ! 引き直しを要求するっ!!」
ニーナ「ダ〜メ、ダメ〜。ほらほら、アスロックくん、答えて答えて」
アスロック「ん? ああ。――そうだなぁ……」
ファルカス「異議を申し立てなくていいのか、友よ。……まあ、オレが答えるわけじゃないから、いいっちゃいいけど」
アスロック「とりあえず、サーラの代わりにおれがファルカスと一緒に旅をすることになるんだろうな」
ファルカス「や、ちょっと待て! それは暗にオレとサーラが――」
ニーナ「いまさらなにを言っているのやら。ねえ、サーラさん」
サーラ「え? う、う〜ん、そうだねぇ……」
ニーナ「曖昧に笑って逃げようたってそうはいかないよ?」
ファルカス「そういうお前は、この上なく邪悪な笑みを浮かべているな」
ミーティア「ぶっちゃけ、どこまでいってるの? ファルカスとサーラ」
ファルカス「お前が訊いてくるかっ!?」
ミーティア「だって、あたしとアスロックの場合と違って、お互い恋愛感情あるわけでしょ? ほれほれ、お姉さんに話してみなさい」
ファルカス「お前はオレより年下だろうが。……別に、なにもないって。本当に」
ミーティア「…………。え、二年間も一緒に旅してて、本当になにもなかったの? もしかしてファルカス、そういう病気? あ、それとも同性愛者?」
ファルカス「どっちも違う! ええと、サーラとずっと一緒に旅していたのは事実だが、それとはまた別の要因もあったんだよ。しょっちゅう事件に巻き込まれたりもしてたしな」
ミーティア「…………。ふ〜ん」
ファルカス「なんだよ、いまの間! それにそのニヤニヤ笑い! そういうお前はアスロックとどうなんだよ!?」
ミーティア「はい? まあ、ただの旅仲間よ、旅仲間。二人っきりになることもほとんどないしね」
ファルカス「くそう、サラッとしてるな……。だったらサーラだってただの旅仲間だ!」
サーラ「え、ただの旅仲間……?」
ファルカス「へ? あ、いや……」
サーラ「……『ただの』旅仲間……」
ファルカス「いや、あのサーラさん? そんな情感込めて言い直さなくても……。というか、涙目になるのはマジでやめてくれ。なぜだかオレの精神にダメージが……」
サーラ「……なんちゃって。<通心波(テレパシー)>でファルカスの本心は丸わかりだから、この程度のことで傷ついたりなんかしないんだよね〜」
ファルカス「あっ! お前なっ!」
ミーティア「……悪女ね」
スピカ「悪女ですわね……」
九恵「誰よりも白く見えるサーラ・クリスメントが悪女二人に『悪女』と呼ばれるだなんて、世も末ね……」
ミーティア「あたしは悪女じゃないわよっ!」
スピカ「悪女はむしろあなたのほうなんじゃありませんことっ!?」
九恵「それじゃあ、そういうことにしておくとして。次の質問に移りましょうか?」
ニーナ「あ、うん。そうだね。それにしても、ことごとく期待とは違う展開になるなぁ……」
アスロック「ニーナ、一体どんな展開を期待してたんだ?」
ニーナ「そりゃあ……。って、そんな邪気のない目で見ないでよ! なんか自分がすごく汚れてるような気がするよ! とにかく次の質問! はい! くじ引いて!」
全員「了解〜」
ニーナ「そろそろ皆、気だるげになってきてるね。まだまだ質問はたくさんあるっていうのに……」
サーラ「……あ、引いちゃった。じゃあ、今度はわたしが答える番だね。それにしても、う〜ん、二回目かぁ……」
アスロック「おれもこれで二回目だな。ほれ、先の赤い棒」
ニーナ「じゃあサーラさんに質問! もしもアスロックくんが夫(嫁)だったら?」
サーラ「ふえぇっ!? そ、それは――」
ファルカス「サーラを渡してたまるかあぁぁぁっ! アスロック、決闘だ! 剣を抜けっ!」
アスロック「ええっ!? なんでそうなる!?」
ファルカス「うるさいうるさいうるさ〜いっ!」
ニーナ「ファルカスくんご乱心、だね」
ミーティア「なんであれで恋人同士じゃないのかしらね……」
サーラ「そういうミーティアちゃんはどうして焦った表情してるのかな〜?」
ミーティア「うっ……!」
ファルカス「あー、もう! 次の質問だっ! 次の質問にいけっ!」
ニーナ「ええっ! まだまともに答えてもらってな――」
ファルカス「いいから次っ!」
ニーナ「そ、そんな鬼気迫る表情で、『本編』でも一度も出したことのない強さの殺気を放出しなくても……。わかったよ、次いくよ、次。逆らったら本当に酷い目に遭わされそうな気さえしてきたし……」
ファルカス「わかればいいんだっ!」
ニーナ「はいはい。じゃあ次っ!」
全員「よっと!」
ニーナ「どうでもいいことだし、突っ込んじゃいけないことでもあるんだろうけどさ、皆よく声がピッタリ合うよね〜。なんで?」
スピカ「……引いてしまいましたわ」
九恵「いままで引かずにすんでいたことこそ幸運だったと思いなさい。私なんて、二度目なんだから……」
ニーナ「え、ボクの発言無視!? ……まあ、いいや。じゃあ質問っ! スピカさん、九恵さんと遊びに行くなら?」
スピカ「遊びに? どこに行くのかにもよりますけれど、わたくしが満足できるような場所が日本にありますかしら? アメリカには日本のそれよりも立派な『ディズ○ーランド』がありますのよ?」
九恵「へえ。どのあたりが違うのか、聞かせてもらえるかしら?」
ファルカス「なんだろう。遊びに行くというのは親交を深めるための行為であるはずなのに、むしろ二人の間に剣呑な空気が……」
スピカ「…………」
ニーナ「えっと、どうして黙り込むのかな? スピカさん。……あ、もしかして――」
スピカ「ええ、そうですわよ! 家が家ですもの! 友達と遊びになんて一度も行ったことありませんわよ!!」
ニーナ「それは家柄のせいというよりも、自分の性格のせいなんじゃあ……。……あ、じゃあこの質問は切り上げるとして、次いこう! はい! 引いて引いて!」
全員「ほいっ!」
ニーナ「……そろそろツッコみたい掛け声になってきたね」
ファルカス「……なあ、オレが赤い棒を引く回数、他のヤツより多くないか?」
アスロック「気のせいじゃないか? ほら、おれも引いちゃったし」
ニーナ「そうそう。偶然そういう偏りが起こるのがゲームってものなんだよ。じゃあ質問ね。もしもアスロックくんが双子の兄弟だったら?」
ファルカス「お前とニーネの関係じゃあるまいし。というか、そんなことが本当にあってたまるか」
アスロック「まあ、同年齢で同じ『アトール』姓でも、髪の色が全然違うもんな」
ニーナ「いやいや、いまはそういうことを言ってるんじゃないんだよ!?」
ファルカス「わかってるよ。でもぶっちゃけ、いい加減疲れてきた」
ニーナ「本当に心の底からぶっちゃけたね! いま!」
アスロック「とりあえず、そうであってもおかしくないくらい息はあってるよな、で流さないか? ニーナ」
ニーナ「わかったよ、やれやれ……。じゃあ、次いこう」
全員「うおりゃあっ!」
ニーナ「いまのはさすがに突っ込むところだよねぇ!? ねぇ!?」
スピカ「……二回目ですわ」
ファルカス「おかしい! これ絶対にオレが多く赤い棒を引くように細工してるだろう! ニーナ!」
ニーナ「心外だなぁ。ボクは細工も操作もしてないよ。むしろなんで皆の声があんなにピッタリと揃うのか、不思議で仕方ないんだから。――じゃあ、質問ね。もしもファルカスくんが自分の子供だったら?」
ファルカス「げっ! なんて質問!」
スピカ「そうですわね……。速やかに自立していただきますわ。本人の意思に関係なく」
ファルカス「育児放棄!?」
スピカ「あ、戸籍上も一切関係なかった、ということにさせていただきますわね」
ファルカス「怖えよ! 笑顔で言うあたり、オレとしては全然笑えねえよ!」
スピカ「では、次に参るとしましょうか?」
ニーナ「あ、うん。なんか今回は想像通りだったなぁ……」
ファルカス「オレは想像していたよりも酷い回答に驚いたよ……」
ニーナ「じゃあ、はい、次!」
全員「おうよっ!」
ニーナ「なんで『おうよっ!』っ!? ねえ、なんでそれで掛け声がピッタリ合うのさ! アスロックくんとファルカスくんだけならまだしも、今回、女性陣多いよねぇ!?」
ファルカス「なあ、やっぱり確率操作されてるんじゃね!?」
九恵「また引いてしまったわね……」
ニーナ「じゃあ質問! もしも九恵さんが学校の先生だったら?」
ファルカス「サラッと流すなよ! ……しかし、そうだな。『あけおめ』女が教師かぁ……」
九恵「ちょっと、いい加減『あけおめ』女ってやめてくれない?」
ファルカス「うん? ああ、わかったわかった。……しかし、あれだな。頭は悪くなさそうだが、とことん無愛想な教師になりそうだよなぁ。というか、それで務まるのか? 教師」
九恵「別にやりたいとは思わないもの」
ニーナ「じゃあ次! サクサクいくよ〜!」
全員「よっ!」
ニーナ「原点回帰!?」
サーラ「あ、赤い棒」
ファルカス「……もはや、これに作為を感じるなというほうが無理だと思うんだが……」
ニーナ「うるさいなあ、ファルカスくんは。サクサクいくよって言ったでしょ? いちいちぶつぶつ言わないの。――じゃあ質問ね。もしもファルカスくんがテレビの中から這い出てきたら?」
ファルカス「テレビ? なんだそりゃ?」
九恵「とりあえず、ホラーね」
スピカ「まったくですわね。ほら、回答者のあなたはどう答えますの?」
サーラ「……す」
ニーナ&九恵&スピカ「す?」
サーラ「すごいね〜! もしできるならすごい便利だよ! それ!」
九恵「えっと……」
スピカ「なんか、ズレてますわね……」
サーラ「ほら、あれでしょ? あっちのテレビに入ったと思ったら、別のところにあるテレビにワープ! って感じの移動手段。できたらいいよね、ファル!」
ファルカス「ん? ああ、そうだな。テレビっていうのがどういうものなのかはよくわからんが、『刻の扉』のような移動装置だっていうのなら、ぜひ使いたいな」
ニーナ「ええと、この質問、あなたは『どんなリアクションをとりますか?』っていう類の質問なんだと思うけど……。まあ、いいや、次いこう、次」
全員「んー」
ニーナ「なんともやる気のない掛け声だね……。まあ、とやかくは言わないけど」
セレナ「……二回目、ね」
スピカ「わたくしはもう数えるのやめましたわ」
ニーナ「じゃあセレナさんに質問! もしもスピカさんが上目遣いに甘えてきたら?」
ファルカス「気色悪っ!」
スピカ「なんですって!」
セレナ「そうねぇ……。やっぱり、とりあえず頭を撫でてあげる、かしら。ミーティアによくやってあげたように」
ミーティア「ちょ、ちょっとお姉ちゃん! 何年前の話してるのよ!?」
ニーナ「ミーティアさんは甘えん坊だったんだねぇ。はい、そんなわけで次いこ〜!」
全員「とおっ!」
ニーナ「突っ込まないよ〜。絶対に突っ込まないからね〜」
セレナ「立て続けに、ね」
アスロック「あ、おれもまた引いちまった……」
ニーナ「じゃあセレナさんに再び質問〜。もしもアスロックくんが料理を作ってくれると言ったら?」
アスロック「や、作れないぞ、おれ!」
セレナ「そうねぇ。私は肉よりも野菜のほうが好みなのよね。だから野菜オンリーのフルコースをお願いね」
アスロック「だから作れませんって!!」
ニーナ「じゃあ次いこう! 次!」
全員「はっ!」
ファルカス「また引いちまったのか、オレ! 絶望した! 自分の運の無さに絶望した!」
ミーティア「うわ、引いちゃった……。まあ、アスロックやファルカスほどは引いてないからよしとするか」
ニーナ「じゃあファルカスくんに質問! もしもミーティアさんが執事(メイド)だったら?」
ファルカス「や、あの。仮にも一国の姫をメイドにしようというのは、なんというか、色々とマズいんじゃ……」
ミーティア「あら、気にすることないわよ。たとえばの話だもの。……いまなら攻撃呪文フルコースとか、やってあげるわよ?」
ファルカス「やっぱり不満なんだろ!? 王女としてのプライドが許さないんだろ!?」
ミーティア「失礼な。王女としてじゃなくて、人間としてのプライドが許さないだけよ。誰かにへこへこと仕えながら生きるなんて、ね」
スピカ「じゃあ、うちで働いているメイドとかのプライドはどうなるのでしょうか……」
ニーナ「じゃあ、次ね」
全員「むんっ!」
ニーナ「(突っ込まない。突っ込まないぞ〜)」
ミーティア「うわっ。また引いちゃったわね。なんかこれ、連鎖性ない?」
サーラ「気のせいじゃない? ほら、赤い棒を引いたの、ファルじゃなくてわたしだし」
ニーナ「じゃあ質問! もしも病院に行って診察する先生がミーティアさんだったら?」
アスロック「うわ、なんか限りなく不安だな」
ミーティア「失礼ね、アスロック! あたしだって回復系の魔術は使えるわよ!」
サーラ「とりあえず、これはミーティアちゃんだからどうこうというわけじゃなくて、誰に対してもそうなるんだろうけど、わたしは設備とかだけ借りてちゃちゃっと治しちゃうと思うな」
ファルカス「上手くかわしたな、サーラ」
サーラ「も、もう、ファル!」
ニーナ「じゃあ次! 引いて引いて〜!」
全員「うおりゃあっ!」
ニーナ「『うおりゃあっ!』、二回目出たっ!」
サーラ「あ、また引いちゃった……。これ、確かに連鎖性あるかもね……」
九恵「明日は我が身という奴からしらね……。あ、ということは次は私が先に引くということに……?」
ニーナ「ええとね、九恵さん、もしもサーラさんとカラオケに行ったら何を歌わせたい?」
九恵「いま流行の歌はよく知らないのよね、私。……そうね、じゃあ『残酷な天使のテーゼ』」
サーラ「え、えっと、じゃあ……。ざ、ざ〜ん〜こ〜くな天使のテェ〜ゼ〜。しょ〜お〜ね〜んよ神話にな〜れ〜」
ミーティア「え!? いまここで歌うの!?」
ニーナ「あ、ううん。いまはだいぶ時間が押してきてるから、歌うのはまた別の機会に、ね」
サーラ「あ、そうなんだ(ホッ)」
ニーナ「じゃあ次ぃっ!」
ファルカス「なんか、ヤケになってないか?」
ニーナ「いいから早く! 次が最後なんだよ!」
全員「おりゃっ!」
ニーナ「なに!? その『よっしゃあ!』って感じの声!」
サーラ「あ、また引いちゃった……」
ファルカス「げ、オレかよ……。まあいいや、さっさと答えて終わらせようぜ、サーラ」
サーラ「うん、そうだね、ファル。ニーナちゃん、質問の内容は?」
ニーナ「う〜んと、ね。――あ。」
ファルカス「な、なにニンマリしてるんだ?」
ニーナ「いや〜、この組み合わせならニンマリもするでしょ。というわけで! サーラさん、もしもファルカスくんが1つだけ何でも言うことを聞いてくれると言ったら何を願う?」
サーラ「え、なんでも……?」
ニーナ「そう! なんでも!」
サーラ「な、なんでも……(赤面)」
ファルカス「な、なんかサーラ、別の世界に旅立っちゃってないか?」
サーラ「(ブツブツと)え、そんな、ホントに……?」
ファルカス「お、お〜い、サーラ?」
サーラ「(なおもブツブツと)そんな、恥ずかしいよぅ……」
ファルカス「なにがなんだかよくわからんが、とにかく戻って来い! おい、サーラ! サーラ!!」
ニーナ「おおっ! ファルカスくん、力強く肩を抱いて揺さぶるなんて大胆だねぇ!」
ミーティア「ひゅーひゅー!」
ファルカス「いや、普通のことだろ……」
サーラ「ん、あ……?」
ファルカス「お、やっとこっちの世界に戻ってきたか」
サーラ「……え!? ファル!? え、えっと、まだ早いよっ!?」
ファルカス「なにがだあぁぁぁっ!?」
ニーナ「あははははっ! あー、笑わせてもらった。ついでにニヤニヤさせてもらった。さて、じゃあ最後の質問にいこうか」
ミーティア「ちょっと待ちなさい! いまので最後って言ってなかった?」
ニーナ「うん、それがすっかり言い忘れてたんだけど、このバトンにはもうひとつルールがあってね。なんでも最後に質問を付け足さなきゃいけないんだって。このバトン自体はアンカー宣言して終わらせるつもりだからやらなくてもいいのかもしれないけど、やっぱりやっておくに越したことはないかなって。あ、もちろん質問はボクが考えるからね」
ファルカス「これは……最後の質問では絶対に赤い棒は引きたくないな……」
ニーナ「とりあえず、先に質問を提示しておくね。う〜ん、そうだなぁ……。もしも○○と殺し合いになったら? でいこうか」
アスロック「なんて物騒な……」
ニーナ「はい、じゃあ引いて引いて〜」
全員「みゅっ!」
ニーナ「なに!? 『みゅっ』てなに!?」
ミーティア「うわ、最後に引いちゃった……」
サーラ「これ、ファルが言ったように、本当に操作されてたりするのかな……。いくらなんでも引きすぎだと思うんだよ……」
ニーナ「まあまあ、くじ運がないと思って諦めようよ。じゃあ、はい。ミーティアさん、もしもサーラさんと殺し合いになったら?」
ミーティア「問答無用で倒す」
全員「…………」
ミーティア「なに? どうしたの? 皆黙り込んで」
サーラ「う〜んと、説得とか話し合いとかはしないの?」
ミーティア「そんなので解決するんだったら、殺し合いになんて発展してないでしょ」
ファルカス「きょ、極論だなぁ……」
ニーナ「でも、ある意味ではその通りかも……」
スピカ「なんというか、シビアですわね……」
ミーティア「そりゃ、何度も死線をかいくぐってれば、こうもなるわよ」
九恵「そもそもこれ、時系列的にはいつ頃なの?」
ニーナ「おっと! それは訊いちゃいけない約束だよ!」
アスロック「なんか、グダグダだなぁ……」
セレナ「まあ、あなたたちらしいんじゃない?」
ミーティア「さらりと自分だけ除外したわね、お姉ちゃん」
ニーナ「う〜ん、侮れないね、セレナさん」
ファルカス「なあ! それよりも今年こそはオレの出番、あるんだよな!?」
ニーナ「え? う〜ん、あるんじゃないかな、たぶん」
ファルカス「たぶん!?」
ニーナ「あ、ううん、絶対。いくらあの作者であっても、来年中には、絶対」
ファルカス「絶望した! あの作者に生み出されたという事実に絶望した!!」
ニーナ「あはは……。まあ、そう言わないで、ファルカスくん」
サーラ「あ、そろそろ時間だね。えっと、皆さん、最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。今年も『スペリオルシリーズ』にご期待ください。それでは、これからも末永くよろしくお願い致します」
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